小春日和の昼下がり、ポカポカな日差しを浴びながら
『初級者向け障害レッスン』を終った健太は
障害練習馬場を見下ろせる一段高い芝生のベンチで、
「あぁ〜今日も、イマイチだったなぁ〜、なんか、モヤモヤするなぁ〜
はっきり言って、あの馬とはウマが合わないんだよなぁ〜、、、
あいつ、馬のくせにやる気ないんだよなぁ〜、、、
こっちはいつもやる気満々なのに。。。」とか、ぼそぼそ独り言ちながら
ケンタに寄って買ってきたチキンをグイッとかじり
缶ビールもグイッと飲んだ。
とかなんとか、先ほどの騎乗を思い起こしつつ、チキンをかじりつつ、ビールを飲みつつ
日差しを浴びていると
下の馬場では『選抜ジュニアライダー 障害レッスン』が始まっていた。
とろっとした眼差しで、人馬を追う。
「あぁ〜、若い子たちは上手いなぁ〜、、、人馬一体って、あんな子たちのことを言うのかなぁ〜
オレも若い頃からやっていればよかったぁ〜、、、」なんて、いまさら言ってもさっ、なんてことを。
で、と、その時、健太は己の目を疑った、、、ジュニアライダーたちに交じって、なんか、
ハイブリッド一体型のちびっ子人馬がいるじゃぁ〜ないかッ!?
こ、これが、あの噂の、ちびっ子ケンタウロスかぁ〜?!!!
障害のコースを縦横無尽に、コース取りなんか関係なく、
ぴょんぴょんピョンピョン跳び越えているじゃぁ〜ないですかっ!
健太は思った、いや、念じた、渾身の力で全身全霊で。
「神様お願い、オレもケンタウロスになりたいッ!」
捨てる紙クズあれば、こんな健太でも拾って戴ける神様がいらっしゃる。
彼は、ケンタウロスになった。
そして、障害コースを縦横無尽に駈け廻った。。。
(後編に続く)



